小論文のはじめの一歩

■ 志望理由書から
この前東大ロースクールを受験することになった友人の志望理由書を見せてもらった。アドバイスが欲しいとのことだったので、結構ズバズバと言わせてもらった。 彼は同世代の中でもとりわけ頭の切れる人間だ。文章の力もある。言葉に熱がこもっている。志望理由書も、そのままで素晴らしいものだった。

そんな中で僕がアドバイスをするのも、なんとなく気が引けたのだけれど、それでももっと彼の良さを引き出す語と構成があると思われた。 そのときのアドバイスが、もしかしたら受験生がある程度まとまった文章を書くのに役立つかもしれないので、ちょっと書いてみる。

■ 形式的なアドバイ
これは僕が文章を書くときに気をつけていること、だと思って欲しい。基本的に小論文の指導も、現代文の解答の記述の指導も、この辺りに着目して行なっている。比較的フォーマルな文章では、次のようなことに気をつけている。

※ ただし、これは形式的なアドバイスにすぎないことを確認しておく。

1)問われていることに答える。
書こうとしている文章はいったいどのような問いに対する答えなのか。誰がそれを読むのか。まずはここから。 言いたいことを言いたいように言う、というのでは評価はされない。コミュニケーションをしようとする姿勢を忘れないこと。これはおよそ「論文」と名のつくものを書く際の大前提だけど、意外と見落とす人は少なくない。

2)1文は短く。
1文はなるべく短いほうがいい。僕はフォーマルな文章では情報のまとまりを1つの文の中で3つ以上は入れないようにしている。ある種の学問(特に法学!)に親しんでいるとつい長くなってしまう気持ちはわかるけど、主述はなるべく2つまでにする。意識的に制限する。

3)単純接続語を使わない。
論理関係がひとつに定まらない語を使わない。接続詞「そして」や単純接続の「が」、「て、で、して」など。便利だから使いたくなるのはわかるけれど、フォーマルな文章では論理関係を明確にしたい。こららの言葉はその関係を曖昧にし、隠蔽する性質を持っている。だから、その関係を曖昧にする語を意識的に制限する。

4)論理関係を明確に示す。
先ほど述べた曖昧な接続語を利用しない代わりに、意識的にロジカルな接続語を利用しようと心がける。読みやすい文章に必須の条件は、内容の予測ができることだ。読み手に内容の予測ができるように、ディスコースマーカーを配置する。

5)抽象具体の対応に敏感になる。
最初に自分の主張を抽象的に(要約的に)示す。その主張と対応する形で具体的な説明を始める。これも読み手とのコミュニケーション。「ん?抽象的でよくわからないぞ?どういうことだ?あ、こういうことね」と問いを生ませ、解決する。相手からの反応を予測し、対話するよう心がける。

6)1文内の語の配列に気をつける。
左から右に流れる以上、左には旧情報、右には新情報を置いておきたい。冠詞の概念と相まって英語ではごく自然の発想だけど、日本語で書く際には意識されないことが多い。このあたりは上級編。

■ 本当に大切なことは?
いろいろ書いてきたけれど、想像力を働かせてコミュニケーションをしましょう、というのが僕の文章における持論。 文章は時間差のあるコミュニケーションだから、相手の反応を想像した上でその反応に対する適切な反応を「わかってますぜ、旦那」と先回りして書いておく。これが一番、かな。

受験生のレベルに戻ろう。ここまでできなくても受かるよ、うん。まず差がつくのは、1)の部分。つまり、「問いに答える」ことのできる受験生って多くないんだな、意外なことに。今述べてきた技術的な話は、すべて「問いに答えている」ことを前提にしているから、まずはそこから見直すといいかもね。

■ 自分の言葉で語ること
彼の話に戻る。彼には主に、意識的にDM(ディスコースマーカー)を利用すること、旧情報・新情報による配列を考えること、抽象具体の対応をよりよくすることをアドバイスさせてもらった。見違えるほど良いものになった。いい文章は淀みがない。流れが妨げられない。

そしてもう一点アドバイスをしたんだ。それが、「自分の言葉で語ること」。志望理由書なんてみんな同じようなこと書いてくるさ。しかもそれが「東大ローを志望した理由」ともなれば、似たり寄ったりだろう。すると同じ表現が集まり、言葉がインフレする。価値が下がる気がする。

「時代に流されない普遍的な思考」。これが東大ローの合言葉。誰もがきっと書いてくる。それが借りてきた言葉なのか、問題意識を持った上での自分の言葉なのかは判別できない。東大のサイトから持ってきただけなのかもしれないし、今までの具体的経験の中で抽象化し、心の底から大切だと思っているのかもしれない。それはわからない。

だからこそ、自分の言葉で語る必要があると僕は思う。その点彼は、常日頃から普遍性の大切さを言葉を換えて何度も何度も説いていた。予備校本や「受験テク」で効率よく「受かればいい」とする態度に対して、「それじゃいけない!」いつも僕に熱く語ってくれた。それを書きさえすればよかった。

僕の生徒の何人かには、僕が東大に提出した研究計画書を見てもらったんだけど、あれはなかなか面白かったと思う。どういうことかと言うと、フォーマルな文章のはずなのに、出てくる語彙がヒューモラスでコミカルなんだ。

あの天下の東大に提出する文章だぜ?そこに、「戦国時代の如く」とか「サイズの合わないTシャツ」なんて言葉が出てきている。笑っちゃうかもしれないし、あるいは驚くかもしれない。 でも、これが借りてきた言葉でない、僕の経験を反映した、僕だけの言葉だった。それが最も伝わると思ったんだ。

もしかしたら「自分の言葉で語る」ことは高校生のレベルを超えているかもしれない。受験では使えないかもしれない。でも、文章という比較的画一的なフォーマットの中で、コミュニケーションを前提にした上で、隠れがちな「情熱」や「オリジナリティ」を伝えるには優れた手段だと思います。

■ 小論文対策の第一歩
いろいろと述べてはきたけれど、受験生がまず学ぶべきなのは、形式ではなく、書く内容です。語る内容と言葉がないと、小論文なんか書けない。小論文試験はリアルに君の経験が問われる。読んだこと、体験したこと、考えたこと。今の受験生にはこれが決定的に欠けている。

小論文というものは、「小論文が書けるようになる10の方法」みたいなパッケージですぐさま書けるようになるものじゃない。 方法が有効なのは、書く内容を自分の中に持っている人だけだ。採点する教授の気持ちになろう。小手先のテクニックをあざとく仕入れてきた人を選び入学させる試験なのか?恐らく、違う。

1にも2にも内容がないと書けない。書き方の訓練はその後でいい。原稿用紙の使い方とか、フォーマルな言葉遣いとか、そういうものはすぐに身につく。国公立後期や、一部の私大の受験を考えている人は、真っ先に内容を仕入れること。これは数日・数週間で身につくものではないのだから。

■ 内容を仕入れる
本来、小論文で合格しようと思うなら、その分野については読書によって見識を深めておくことが望ましい。
とはいえ、最初のとっかかりが掴めない人も多いだろう。どのようなテーマが小論文試験で問われるのか、その全体像の枠組を簡単に構築しておきたい。

初学者向けに、最初の本として2冊紹介しておくよ。
現代文の成績が上がらない人も、まずはこの2冊を読み込んでみよう。

樋口裕一『読むだけ小論文 基礎編』
読むだけ小論文 基礎編 ―すべての受験生向け“頻出の11テーマ” (大学受験ポケットシリーズ)

読むだけ小論文 基礎編 四訂版 (大学受験ポケットシリーズ)

樋口裕一『読むだけ小論文 発展編』
読むだけ小論文 発展編 ―上位校突破のための14テーマ (大学受験ポケットシリーズ)

読むだけ小論文 発展編 三訂版 (大学受験ポケットシリーズ)

当然だけど、読むだけで小論文が書けるようになるはずもない。
これは、概略に過ぎない。

これら2冊を読み込み、自分の受ける大学の過去問を丁寧に読んでみよう。
どのようなテーマが問われているのか見えてくるはずだ。
それがわかったら、分野・学問領域に従った読書を始めよう。
もちろん、ペンを握ってノートを開いて、ね。

まずはここから。

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