法学部首席が語る、新大学生が今読むべき本

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photo credit : Akihiro
法学部に合格した新入生から、「法学部に入学するにあたって読んでおくべき本があれば教えて欲しい」という質問をTwitterで受けました。
確かに僕も法学部で学んだ学生の一人でした。頭に浮かぶような本もいくつかあるはずです。
しかし、この質問を受けたときに真っ先に頭に浮かんだのは、某国公立大学法学部を首席で卒業した友でした。
現在某有名ロースクールで学ぶ彼は、僕にとって、共に切磋琢磨する仲間であり、唯一無二の親友でもあります。
首席であるといっても、安直な試験対策に走るのでは決してなく、知的好奇心に溢れ、学問的な造詣に深く、本質を常に捉えようと自らの頭を働かせることをやめない模範的な法学徒でありました。
そんな彼に、もらった質問をぶつけ考えてくれるように依頼したところ、快く承諾してくれ以下に紹介するようなブックガイドを書き上げてくれました。
それは、単なるブックガイドなのではなく、彼自身の大学生・法学徒としての4年間の経験から裏打ちされた嘘のない言葉によって語られた大学生活のガイドとなっていました。
紹介された本に加え、このような大学生活、ひいては人生の指針ともなりうるガイドが、僕の入学時にも存在していれば!とこれを読んでいる新入生を羨ましく思います。
そんな僕の親友が魂を込めて執筆してくれた大学生活の指針となりうるガイドです。どうぞご覧下さい。
■ 1 ごあいさつと前置き

このたび、光君から新入生向けの書評を書くよう依頼をいただいた、Akihiroと申します。
書評を書く上で光君から提示された条件は、第一に、この書評が大学入学前の高校三年生ないし浪人生を対象とするということ、第二に、本の解説に終始するのではなく自分の経験や考え方を踏まえて書いてほしいということでした。
ここで本を選定するにあたって、第一の点から導いたのは、「大学生活を送る上での全体的な指針となり、これから先の勉強について一定の方向性を与え、途中で迷いが生じたときには何度でも立ち返って読み直せる本」がよいのではないか、ということです。
このような本を学問の内容に入る前のこの時期に読んでおけば、今後の学問の吸収に役立つと思われたからです。
また第二の点から、本の詳しい解説・感想はAmazonレビューや出版社の紹介にお任せするとして、ここでは大学生活を充実させることに関して日ごろ私が思っていることを中心に書かせていただきたいと思います。
■ 2 大学新入生に向けて

(1)新入生の期待を裏切る大学? 役に立たない大学?
さて、みなさんは大学入学を前にどんな気持ちでいることでしょうか?
「大学の授業は高校とどう違うのだろう?」
「大学の試験のレベルはどのくらいだろう?」
「学問とは何だろう?」
自分が大学入学前のときはどうだっただろうかと回想すると、平凡で窮屈な高校までの教育を飛び出して、いよいよ自由な学問の海に飛び出していけるのだという、希望に満ちあふれた気持ちでいたことが思い起こされます。
そして、同じような気持ちで大学入学を迎えられる方はたくさんいらっしゃると思います。
もっとも他方で、大学に対するみなさんの期待をかき消したり、学問の意義を否定しようとしたりする言説も存在します。
たとえば、「大学の授業はつまらないから大学にまじめに通う必要はない」とか、「就職が厳しいため学問なんてやっている暇ではない」とかといったことをアドバイスする大人や大学生が、みなさんの周りにいるかもしれません。
確かに、上記の考えを持った社会人や学生は多数存在しますし、大学に対する期待を裏切るような退屈な授業というものもないわけではありません。
また、日本の政治・経済・社会がこれほどの閉塞感に包まれている状況では、悠長に学問に耽溺している場合ではないなどといった言説が、一定の説得力を持ってくることもやむを得ないと言えるでしょう。

しかし、実のところ大学には、学問をしたいというみなさんの純粋な期待に応え、あるいは社会で生き抜く力を学生に備えさせるだけの舞台がそろっているのであって、それにもかかわらずそのことに気づかない人が非常に多い、というのが真実ではないかと私は思います。

(2)就職活動に生きる大学
大学でする学問のおもしろさは、それをやればすぐに分かることですので、ここでは実践的な面、とくに大学は就職活動に役立つのかどうかという疑問についてお答えしたいと思います。
たとえば、就職活動では「コミュ力」が重要であると言われます。
「コミュ力」という言葉は多義的で曖昧ですが、さしあたってここでは「コミュ力」の内容を「相手の質問の内容を確実に理解し、その質問に適応した回答・解答を自分の言葉で返すことのできる力」と定義したいと思います。
簡単に、言葉のキャッチボールができる力と言い換えていただいても構いません。
そして、内容があいまいであるとよく批判を受ける「コミュ力」なる概念ですが、このような定義をされた「コミュ力」であれば、社会で生きる上で、誰かと仕事をする上で、あるいは新たな価値を生み出す上で、非常に大事なものだといえます。
では、この「コミュ力」を身につけるのに当たって、大学の授業と試験というカリキュラムに真剣に取り組むことが最適の方策である、と言うとみなさんは驚かれるでしょうか。
実は大学の単位認定試験というのは、授業で教授の言ったところを正確に理解し、教授が与えた質問を正確に把握し、求められた解答を分かりやすい日本語で表現できなければ、最高の評価は与えられないようになっているのです。
したがって、最高の評価を得ることを目標に日頃の学習を継続していけば、自然と前記の意味での「コミュ力」は身につくのだ、というのが私の持論なのです。
さらに、就職活動で生きる力を身につけさせてくれるのは、授業と試験だけではありません。
ほかにも、少人数制のゼミでの議論や先生との対話、図書館の活用などたくさん手立てがあるのであって、大学の用意したこれだけの舞台を有効利用しないのは大変もったいないことだといえます。
以上の観点から、採用に当たって大学の成績や大学で取り組んだゼミの活動などを重視する企業も、最近では多いとのことです。
というのは、大学のカリキュラムをこなせば会話のキャッチボールを成立させる力が自然と身につくという前記の点に加えて、大学で学問に真剣に取り組んだ人は一本芯の通ったぶれない思考を持っていることが多いため、信頼が置け安心して仕事を任せられるという事情があるからだと思われます。
実際に私の周りでも、大学を最大限活用して学問と真剣にぶつかっていた人は例外なく就職活動に成功しているといっていい状況です。
さらに言えば、そのような人との会話は楽しく、一緒にいて飽きないものなのです。
(3) 紹介する本
ところで、いくら大学を活用することの重要性を説いても、大学を活用する方法が分からないと仕方がないというのがみなさんの本音でしょう。
光塾のフォロワーないしブログの読者のみなさんは大変レベルが高いと聞いておりますので、「学問の面白さや大学を活用することの重要性は分かっている。ではどうやったら大学を最大限活用できるのか、そこが聞きたいのだ」という方がほとんどかも知れません。
そんな方に向けて、大学に入学する前のこの時期に読むと良い本を二冊紹介したいと思います。
それは、次の二冊の本です。
・許光俊『これからの時代を生き抜くために大学時代にすべきこと』(ポプラ社、2010)

・武居一正『法学部新入生のための学ナビ』(法律文化社、2006)

どちらも、これから大学に入学する方に向けて大学で学問する上での心構えを示したもので、「大学生活を送る上での全体的な指針となり、これから先の勉強について一定の方向性を与え、途中で迷いが生じたときには何度でも立ち返って読み直せる本」であるといえます。
内容は普遍性が高く、目の前に大学卒業を控えた私が今読んでも、いちいち「そうなんだよなあ」と納得のいくことばかり書かれています。
許『これから~』には、大学での学問とはどのようなものかという問いはもちろん、大学での人間関係とは、大学での恋愛とは、バイトはどうすればいいのか、失敗しない就職活動のためにはどうすればいいのかなどのみなさんが気になる身近で実践的な問いについても、筆者の長い指導経験を踏まえた信頼度の高い回答が用意されています。
武居『法学部新入生~』は、タイトル通り法学部に入学する方を対象として書かれていますが、内容は普遍的なものです。これは実際に私が大学入学したての頃に読み、大学生活の指針として大いに参考にしたものです。
どちらも難しいことはいっさい書かれておらず短時間で読めますので、是非一読してみてください1。
今回の推薦図書を読んだ上で次にいよいよ学問の内容に入っていくに当たりどんな本を読むべきなのかについては、この光塾のブログ等で今後別の機会に示されることと思いますから楽しみにしていて下さい。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
              

1 ところで、いうまでもなく学生時代に読むべき本は山ほどあり、意識の高い新入生の中には、「法思想の入門書が読みたい」、「実定法解釈学の基礎が分かるようなのがいい」などの要望を持つ方がおられるかもしれません。
しかし、その要望に対しては、ひとまず我慢してほしいと言うほかありません。
というのも、学問に対する姿勢や判断の枠組みが固まらないうちにレベルの高いものを読んでも、知識を自分のものとすることが難しいからです。
内容的な本については、学問する上での心構えを学び、大学の授業や先生の話を聞いて学問の体系を十分に内面化してから、好きなだけ読み漁るのがよいと思います。
AkihiroくんのTwitter : @akihiro1238

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